【パワハラ対策】管理職のみなさん、部下をどう呼んでいますか?
こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。
今年(2019年)5月29日、私たちの国で初めてパワハラ防止法案について可決され成立しました。
施行時期は、2020年4月。大企業は義務化になる予定です。
さて、何からやればいいのかと、これまでハラスメント防止を後回しになっている組織の方は頭を悩ませているかも知れません。
そこで、今日はまずこれから始めるだけで、管理職の方々の意識が変わることをお伝えしたいと思います。
それは、部下を呼ぶときに名前を「さん付け」で呼ぶことです。
なぜ、さん付けで呼ぶことで意識が変わるのか
(1)相手の名前をさん付けで呼ぶことで、相手を大切にしていることが伝わる
「さん」の語源は、「様」が変容したと言われます。
現在のビジネスの場面では、「様」は話し言葉で使うことは少ないとは思いますが、
大切なお客様に手紙を出すとき、メールを書くときは、「〇〇様」と書くはずです。
その理由は、お客様を「敬っています」「大切にしています」という気持ちを、相手に伝えることでビジネスをスムーズに進めるためではないでしょうか。
そのように使う「様」に変わる「さん」を使うことで、部下が「自分は大切にされている」と感じやすくなるのです。
(2)丁寧な言葉を使うことで、冷静になれる
もし、部下に対して、「カッ」となるようなことがあっても、「さん」で呼ぼうと思うと冷静になれるからです。
部下が何度言っても同じことを失敗したり、
大切な報告をすることを忘れたり、
指示した仕事を中途半端にしたまま帰られたりしたとき、
思わず、「こら!!!鈴木~~~!!!何やってんだ!」と名前を呼びてて怒鳴りつけたくなるかもしれません。
しかし、「さん」を付けようと思うと、自然と丁寧な言葉を使わなきゃと我に返ることができるのです。
実際に、小学校ではクラスメイト同士が「さん付け」をすることで、喧嘩が減ったという事例もあるそうです。
「さんと呼ばなきゃ」と思うことで、我に返り、冷静に相手に話をするきっかけになるのです。
(3)名前を呼ばれると相手に好意を感じる
これは、ネームコーリング効果と言います。
人は、会話の途中などで、何度も自分の名前を呼ばれると、「この人は自分に好意を持っているかも」と感じ、相手に対して丁寧に接するようになることです。
例えば、部下に対して、
「おい、これ、どうなってる?」と聞くよりも
「〇〇さん、これ、どうなってる?」と聞く。
また、
「・・・ということで、あとはおまえの方で、連絡しておいてくれ」と頼むより、
「・・・ということで、あとは〇〇さんから、連絡しておいてくれ」と頼む方が好意的に感じるのです。
名前を呼ぶ効果として、もう一つカクテルパーティ効果という効果も表れます。
これは、騒々しい場所でも、自分に関係のある情報には無意識に注意や意識が向くと考えられています。
みなさんも、騒がしい場所でも、自分の名前が呼ばれると、なぜか自然と聞き取れたという経験があると思います。
このように、人は「自分に関係のある情報」対して、無意識に耳に入りやすくなるのです。
この効果を使って、部下に何か指導をするときには、
「〇〇さん、これに関しては朝10時までに仕上げて欲しい。」など、名前を呼びながら話すと好意的に聞こえる上に、相手はしっかりと注意を払って聞く態勢ができるのです。
ここで、「好意的」という点について、注意をしたいのは、「好意的」=「恋愛に発展」ではないということです。
好意的に思うのは、人ととして尊敬できる、一緒に働きたいと思う、一緒に働くのが楽しいということです。
くれぐれも、「好意的」を恋愛と感じて、相手の意に反する性的言動をしないように気を付けて下さいね!
「ちゃん」では、ダメなの?
研修で、「さん付け」で呼びましょうと伝えると、必ずといって質問されるのが、
「"ちゃん”付けでは、ダメですか?」ということです。
みなさんは、「ちゃん」付け、どう思われますか?
また、どんな相手に「ちゃん」を付けて呼びますか?
語源を紐解いていくと、「ちゃん」は「さん」の幼児語と言われます。
要は、子供言葉です。
職場の同僚や部下に対して、「ちゃん」を付けるということは、子供言葉を使って呼んでいるということになります。
親しみは感じることは出来ますが、頼られている、責任を任せてもらっているとは思いにくいかもしれません。
私がかつて会社員だった頃を思い出すと。。。
職場では「倉本ちゃん」と呼ばれるより、「倉本さん」と呼ばれる方が、頼られていると感じました。
一度、上司から職場の打ち合わせ中に、「ところで、祐子ちゃんはどう思うの?」と言われたことがあり、
打ち合わせ直後に、「職場で下の名前をちゃん付されるのは、気持ちの良いものではないので、やめてもらえせんか?」とお願いしました。
その理由は、当時の私は34歳。
リーダーというポジションでしたので、後輩や部下がいましたから、その人たちの前で「祐子ちゃん」呼ばれたわけです。
なんだか、自分が子供というか、実力のない人のように感じて嫌な気分になりました。
人によって感じ方は違うと思いますが、「ちゃん」の語源を考えていただくと、職場で使う言葉としてふさわしくないことがご理解頂けると思います
呼び方ひとつで、印象も相手の感じ方も変わりますし、
呼び方ひとつで、自身が相手をどう思っているかが表れていると思うのです。
大切な部下、大切な同僚、だと思っているなら、呼び方から変えてみませんか。
ぜひ、部下の名前を「さん付け」で呼んでみてください。
くれぐれも、「おまえ!」など呼ばずに。
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