【事例で知る】何をしたらセクハラなのか?

こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。

ここ最近(2018年5月)、「セクハラ」というフレーズを毎日のように目にすることが増え、ようやく被害者が声を挙げやすくなったんだなと思っています。

私がセクハラに遭った30年前は、「セクハラ」の言葉はまだ世の中に広まっていなかったため、声を挙げる機会もなく、もし声を挙げたとしても、軽く流されていたことでしょう。

だから、こうして取り上げられることは、世の中が「セクハラはいけないことだ」という認識が高まったからだと思っています。

今日は、職場でセクハラが一つでもなくなるように、どんなことがセクハラに該当するのか事例を挙げて書こうと思います。

セクシュアルハラスメントとは

セクシュアルハラスメントとは、
職場において、「性的な嫌がらせ」のことです。

相手の意に反して性的な言動を行われたり、それを嫌がることで働く環境が悪くなることをいいます。

セクハラかどうかの判断基準は、相手がそうだといえば、セクハラですと思っている方が多いようですが、何でもかんでもセクハラと判断されるわけではありません。

厚生労働省のホームページには、セクハラ被害に遭った方が女性であれば、「平均的な女性労働者の感じ方」、被害に遭った方が男性であれば、「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とするのが適当であると記されています。

では、どういう行為がセクハラか具体的に書きますと・・・

(1)相手の許可なく、性的な部位に触ること
これは、絶対にやってはいけない行為です。特にお酒を飲む席では、開放感が増してしまうかもしれませんが、絶対に一線を超えてはいけません。

(2)強制的に関係を迫る(例えば、キスを強要する、身体の関係を持とうとする)
相手の許可なしに、強要されて嬉しい人はいません。ドラマでは、「好きだ!」と言ってキスをしようとしたら、実は相手も好きでしたということはありますが、現実社会ではそんなことは、そうそうありません。

(3)既婚であるにも関わらず、交際を迫る
好きになってしまったら止められない・・・そんな気持ちも分かりますが、そこは職場です。ぐっと堪えてください。

実際に、昨年ハラスメントの研修会で弁護士さんから聞いた事例では、男性上司が部下の女性を好きになり、「愛している」とメールを何度も送り、頭をポンポンとしたことで訴えられたという話を聞きました。

実際に男性上司は女性部下に対して、慰謝料を支払ったそうです。

(4)過去の異性関係をしつこく、強制的に聞く
「ねえ、今まで何人の人と関係持ったの?」って職場の人に聞かれて、言いたい人はいないと思うのです。何より、その話は仕事で必要なのでしょうか?

以上のような行為は、確実にセクハラ認定される内容と言えます。
これらは、レッドカードです。絶対にやってはいけません。

この行為は、部下、後輩、同僚を性的対象として見ているから起こるのではないかと思うのです。

という話を研修ですると、「そしたら社内恋愛が出来ないのでは?」と質問をされたことがありました。

独身同士のお付き合いすることを禁止しているのではなく、ここに書いているように、「相手の許可なく」「強制的に」性的な行為をやめましょうと伝えたいのです。

しかし、独身同士でも、嫌だと言っている相手に対して強制的に関係を迫ることは許されませんし、好きだからと言って家に突然押しかけたり、待ち伏せしたらストーカー扱いされます。

そんなつもりはないが、セクハラに該当すること

(5)肩を揉んだり、手を触ったりする
「お~~どうだ」と部下や後輩の方を揉んでみたり、パソコンを教えるふりをして、マウスの上から手を重ねてみたりの行為です。
あまり頻繁に行うと嫌がられますので気をつけましょう。

(6)身体のサイズを質問する
バストサイズやヒップのサイズをあれこれ聞くことです。

これは、実際に相談された事例です。飲み会でいきなり上司が酔っぱらって、「〇〇さん、おっぱい大きいですね。何センチですか?」と大きな声で叫んだそうです。

相談してきた派遣社員からは、「職場を変えたい」と懇願されました。

(7)自身の性的体験話を、聞こえるように話す
「昨夜、〇回した」や「性欲がすごい」などの発言を職場でやり続け、裁判になった事例もあります。全く持って恥ずかしい話です。

(8)性役割の押し付けともいえる発言をする
「もっと女らしい服装したら」や「男のくせにだらしない」といった女性はこうだ、男性はこうだと決めつけて発言することは、性的な役割を押し付けていることになり禁止されています。

(9)LGBTを差別する発言
「あの人、これ?」「おかまって気持ち悪い」などの発言を職場ですることも、禁止されています。

おかま、おなべ、ホモは差別用語になるので、気をつけましょう。正式は、ゲイ、またレズビアンと言います。

(10)男性の下半身を見せたり、飲み会で服を脱ぐ行為
これも実際に相談をされたことがあることですが、男性の先輩から「打ち合わせをしたい」と言われて会議室に行ったら、いきなり局部を見せられたそうなのです。

見せられた女性は、「二度と顔も見たくないし、会社にも来たくない、気持ち悪い。」と言って泣きながら相談がありました。

彼女は、数日間有給をとった後、会社を退職しました。

(11)男性から男性へのセクハラ
例えば、性体験をしつこく質問する。「男なら風俗だ!」と言っていきたくないと言っているのに風俗店に誘う行為もダメです。

(12)女性から女性へのセクハラ
性体験をしつこく聞いたり、猥談を聞かせたり、結婚や出産について色々と質問責めにしたり、付き合っているかどうかを詮索したりとどかどかとプライベートに入ることも良くありません。

近年増えている女性から男性へのセクハラ

ここ数年、女性から男性へのセクハラも問題視されており、相談件数は年々増えています。
例えば、女性の上司が若手の男性に対して、「言うことをきかないとどうなるか分かってる?」と脅し、性的関係を迫ることなどが起こっています。

また、飲み会の席で女性が男性の身体をべたべた触るのも、不快に感じる人もいます。
女性からすると「触ってあげてるから嬉しいでしょ!」と思う方もいるかも知れませんが、女性が好意的に思っていない男性から身体を触れるのが嫌なように、男性も好意的に思っていない女性から身体を触られることは嫌に感じるものです。

ここまでのセクハラは、一回しただけでレッドカード!ということではありませんが、その執拗性、頻度、関係性(上司と部下の関係で、部下が断りにくい)などを考慮して、セクハラ認定されます。

気を付けるべきこと

書ききれないほどの細かい事例があるのですが、今日は代表的なものを書きました。

ここで考えて欲しいことは、相手(職場の部下・後輩・同僚)の立場を考えて、行動できているかどうかということです。

「何も言ってこないからセクハラとは言えない」と思わずに、相手がどう感じているかを真剣に考えて、言動を確認して欲しいのです。

なぜなら、今は、セクハラ被害者の声を世の中が受け入れてくれますが、ほんの数年前まではこんなに大っぴらに発言することすら許されず、じっと耐えてきました。

時に、まるで被害者が悪い様に言われたこともありました。

「そんな服装しているから」
「接待なんだから、仕方がない」
「それくらい笑ってすませるべき、騒ぐことではない」

と被害者をさらに痛めつけるようなことを言われたりしました。

研修で私自身のセクハラ被害の話をしたところ、受けていた方から「結局、そういう目で見てたからじゃないのか。あなたの話は不快である」とはっきりと言われたこともあります。

しかし、決して被害者の責任ではないのです。

なぜなら、職場で性的なことは必要としていないからです。

だから、セクハラをしないためにも、気を付けて欲しいことは以下の3点です。

・まずは、ご自身の言動を振り返ってみてください。
誤解を受けるようなことをしていないか、言動は相手を気遣ったものかということです。

・次に、周りにセクハラをしている人がいないか見まわしてください。
兆候をいち早く見つけることは、セクハラを起こさせないために、とても大切なことです。

困っている人がいないか、嫌がっている人はいないかを確認して欲しいのです。

・最後に、もし意識なくセクハラをしている人がいたら、しっかりと注意をしてあげて欲しいのです。
誰からも注意されないと気づかない方がいます。気づいた方が教えてあげることで、セクハラ被害が広がらずに済みます。

言いにくいかもしれませんが、同僚のため、部下のために一言声をかけて頂きたいと思います。

しかしもしも、お酒が入ってしまったり、何かの拍子で、職場の仲間に対して、性的な要求がどうしようもなく湧いてしまったならば、その場を離れて冷静になってください。

冷静になるために、まずは職場でのご自身の立場を考えてみましょう。

セクハラを起こした時に起こりうる様々な現象を想像して欲しいのです。

そして、被害者を作ってしまった時に、被害者がどれほど苦しむかを考えてみて欲しいのです。

もし、その被害者がご自分の家族だったらと想像してみていただきたいのです。

きっと、思いとどまれると思います。

投稿者プロフィール

山藤祐子
山藤祐子ハラスメント対策専門家
ハラスメント研修専門講師
国家資格キャリアコンサルタント

ハラスメントとは、あらゆる分野における「嫌がらせ」「迷惑行為」のことです。

企業においてハラスメントを防止するための研修を行っています。

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