【セクハラを我慢している女性の皆さまへ】もしも、セクハラ被害に遭ったなら

こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。

平成が終わろうとしている2018年、いまだに無くならないセクハラ問題。

今日も東京富士大学のソフトボール部で、総監督のとんどもないセクハラがあったと報道がありました(2018年10月5日)

セクハラの対象は時代と共に変化し、女性だけではなく、男性従業員やLGBTも対象となりましたが、

しかし、まだまだ無くならない、男性上司が女性部下を「性的対象」として見るセクハラ。

そこで、今日は女性がセクハラをされたときに、黙って泣き寝入りせずに、どのようにセクハラ行為者に対処するかを書きたいと思います。

セクハラ行為者特有の思い込み

まずは、改めてセクシュアルハラスメントについて説明します。

セクシュアルハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して性的な嫌がらせをし、職場環境が悪くなったり、労働条件に悪影響を被ることです。

簡単に言うと、「性的」な言葉や行動をされて、働きにくくなったり、働けなくなるということです。

性的とは、性欲に繋がるような言動のことをさします。

具体的に説明しますと・・・

・契約社員や派遣社員に対して、「契約更新したかったら、今夜つきあえよ」
・部下の社員に対して、「昇進したいんだったら、今夜つきあえよ」

という時代劇の悪代官か悪徳商人並みに、何かの対価の代わりに性的強要をする対価型。

また、

・職場で、上司や先輩が通りすがりにお尻を触る
・職場の同僚や先輩が、「あいつは遊んでる」とありもしない噂を周りに流す
・職場で、男性社員の方が、仕事上に必要ないようなヌードをスマホで観ている

という職場の環境全体で性的な言動があり、働きにくい状態をつくっている環境型があります。

私はこの二つには同じ共通項があると考えます。

それは、「思い込み」です。

どういうことか?

セクハラ行為者が、何をしても自分は許されていると思い込んでいたり、

セクハラ行為者が、これは職場の潤滑油だから、大したことはないと思い込んでいたり、

さらには、セクハラ行為者が、被害者と恋愛関係にあると思い込んでいる場合もあります。

その中でも、厄介なのはセクハラ行為者が「恋愛関係」だと思い込んでいるケースです。

例えば、セクハラ行為者が、被害者の訴えを確認するために会社から実情を尋ねられた場合に、

「これは恋愛です」

と答えるケースです。

考えにくいのですが、実際に大学などでも、まだ二十歳にも満たない女子大学生に、

単位を盾に交際を迫った妻子がいらっしゃる高齢の教授までも、

「これは恋愛だ」と、言い張った話も聞きます。

こういうように、行為者が「恋愛関係」だと思い込んでいる、自分が悪いことをしたと思っていない可能性が高く、

会社から注意を受けても、色々と上手に誤魔化す可能性があるのです。

新人と思い込みが激しい店長の事例

あるアパレルメーカーの直営店に入社したA子(女性)さん。

仕事を指導してくれるのは、店長であるCさん(男性)が担当することになりました。

早く一人前になりたいA子さんは、C店長の話をしっかりと聞き、メモをとり、実践していきました。

C店長もとても素直に聞くA子さんを可愛がって、熱心に丁寧に教えてくれました。

そんなある日のこと、仕事が終わった夜にC店長はA子さんに声を掛けます。

「遅くなったし、ご飯食べて帰らない?」

「色々と教えたいこともあるから」

A子さんは二人っきりで食事に行くのは、少し緊張するなと思いながら、

誘われたから、断るのも申し訳ないし、

変に勘ぐっていると思われるのも嫌なので、食事に行くことにしました。

その日は、取り留めない会話をしながら食事をして帰宅することになりましたが・・・

翌日、また店長から「食事に行こう」と誘われるのです。

A子さんは、二日続けていくのは、どうかなと思いつつ、断る理由もないため、食事に行きました。

ここで、C店長は「付き合って」と交際を申し込んできました。

しかし、C店長には妻子がいるのは公認の事実。

A子さんは、変な断り方をして、店長が気を悪くされては仕事に差しさわりがあると思い、

「いや、でも店長は結婚してますから・・・」と伝えました。

A子さんからすると、精いっぱいの断り文句だったのですが、C店長は考えます。

「結婚していることを気にしているだけで、付き合ってもいいと思っているのかも」と。

ここが、「思い込み型」の怖いところなのです。

「結婚していますよね」は、相手を傷つけず、自分も傷つかないための断り文句なのですが、

A子さんは自分が好きだと、思い込んでいセクハラ行為者であるC店長は、

「いやいや、そうはいっても、いやと言いながら、好きなんだよね」と考え、ぐいぐい誘ってくるのです。

C店長は、A子さんが本気で断っていると思わず、

来る日も来る日も、食事に誘い、LINEを送りました。

さらにさらに、職場で横にいるA子さんの手を隙あらば握ろうとしました。

 

 

そうして二か月近くが経った頃、

我慢に限度がきたA子さんは、ハラスメント相談窓口に相談し、店舗移動を懇願。

C店長は、セクハラ行為が会社にばれて、降格処分となったわけです。

はっきりと断りましょう

さて、いかがでしょうか。

この話は、相談事例を業界や立場などを分からないように、私が構成して書いたものですが、

男性と女性の間には、全く違う感情が流れていることがご理解頂けたと思います。

A子さんは、C店長に「嫌われたくない」という気持ちが働き、なるべく気を悪くしないような断り方をしました。

しかし、こういう遠回しの言葉は、思い込みが激しい方には全く、伝わらないことが分かっていただけたと思います。

ですから、もしも被害に遭ったときに必ず行って欲しいことは2つです。

・はっきりと断る

・すべて記録する

ここで大切なことは、きっぱりと意思を伝えることです。

遠回しな言葉は、相手を増長させます。

遠回しな言葉とは、

既婚者の上司に言い寄られた場合に、「結婚してますよね」と断ったり、

イヤな先輩から性的なことを強いられたときに、「彼氏がいるので」と言うことです。

ですから、はっきりと、

「イヤです」

「恋愛感情は全くありません」

とはっきりと、お断りをしましょう。

そして、メールやLINEのやり取りを残し、出来れば電話や会話を録音してください。

「こんなメール気持ち悪い!!!」と消さずに、すべて残す必要があります。

また、口頭で言われたこと、体を触られた、などがあれば、

日付、時間、場所、そして誰が周りにいたかなども日記でも良いので書いておきましょう。

この証拠が、あなたを助けることになるからです。

そして、それらの証拠を持って一番信用ができる、口の堅い人に相談しましょう。

また、会社には相談窓口が必ずありますから、勇気を出して話してみてください。

どうしても自分で言うのは辛いということであれば、信用できる方を介して上司に相談するのも一つの方法です。

万が一、社内で相談しても解決できないような場合には、

各種専門機関である労働基準監督署や労働相談コーナーに相談する方法もあります。

 

 

 

そして最後に、これだけは忘れて欲しくないのは、

セクハラ被害に遭ったからといって、あなた自身に責任があるわけではありません。

自分自身を責めたり、蔑んだりしないで欲しいのです。

あなたの素晴らしさはセクハラ被害に遭ったからといって、なくなりません。

自信をもって、立ち向かいましょう。

これが、セクハラ被害に遭って10年以上悩み続けた私から、たった一つ伝えたいことです。

 

投稿者プロフィール

山藤祐子
山藤祐子ハラスメント対策専門家
ハラスメント研修専門講師
国家資格キャリアコンサルタント

ハラスメントとは、あらゆる分野における「嫌がらせ」「迷惑行為」のことです。

企業においてハラスメントを防止するための研修を行っています。

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