ドラマ『ハラスメントゲーム』にみる職場で起こるハラスメントへの対応方法は?【第1話炎上!一円玉パワハラ】

今日は被害者、明日は加害者、これは理不尽な世の中を生き抜くすべての人の物語

こんにちは、ハラスメント研修専門講師の倉本祐子です。

これは、テレビ東京で先週(2018年10月15日)からスタートしたドラマ、
『ハラスメントゲーム』のタイトルバックで主人公・秋津渉(唐沢寿明さん)のセリフです。

このドラマでは、職場で起こるハラスメントを理解しながら、
何がセーフで何がアウトかを分かりやすく解説しています。

そして、主人公の秋津渉が、様々なハラスメントを驚くような方法で解決していくのですが、
その対応が、かなり痛快です。

ドラマなので、ちょっと極端な描き方はしていますが、非常に参考になるため、
その対応のポイントを書いていきたいと思います。

第1話炎上!一円玉パワハラについて

ドラマは、唐沢寿明さん扮する地方店舗の店長である秋津渉が、突然の辞令により、
コンプライアンス室長として、東京本社に呼び戻されるところからスタートします。

秋津は、「マルオーホールディングス」というスーパー業界老舗大手企業の社員で、
7年前にパワハラが原因で本社勤務から地方店舗へ左遷された人でした。

社長(演:滝藤賢一さん)から直々に、コンプライアンス室長に任命されたものの、その理由が分からないまま、
東京本社に着くやいなや、秋津は、早速問題のクレーム対応のため調査を開始します。

クレームの内容は、スーパーマルオー練馬店で買ったメロンパンに一円玉が入っており、5歳の子供が誤飲しそうになったというものでした。

真相を究明するために、色々と調べた結果、なんと社員の犯行だと、秋津渉は、突き止めます。

秋津渉は、本人に確認をするために、部下を連れて練馬店に行きます。

犯人である佐々部(演:尾上寛之さん)はコネで入社をしましたが、本社勤務から半年前に店舗勤務になりました。

しかし、店舗勤務になったことを不服に感じているのか、
仕事をしっかりしないため、パートさんたちから苦情が相次ぎます。

そして、業を煮やした武藤店長(演:田中直樹さん)が佐々部にメールを書きました。

その内容がこちら、

「佐々部さん

また、パートさんからあなたへの苦情が来ました。

勤務中に何度も休憩にいって帰ってこない、
商品の搬入作業を怠っている、
キャッシャーの残金チェックに立ち会ってくれない。

いい加減に自覚しなさい。
君は練馬店にきて、もう半年です。
いつまでも本社風を吹かさず、しっかりキャッシャーの残金を数えなさい。

今の君の仕事は、スーツを着て商品を企画することではありません。
床に落ちた一円玉を這いつくばって拾うことです。」

佐々部は、この「一円玉を這いつくばって拾う」という言葉に腹を立て、
店長を困らせるためにメロンパンに一円玉を混入したのでした。

佐々部の主張としては、

「一円玉を這いつくばって拾え」はパワハラである。
それも会社に言えば、クビにできるレベルである、
だから、店長に『クビになってもいいのか?』と脅すのでした。

ハラスメントハラスメントとは

佐々部さんのこの上司を脅す行為。

これは立派なハラスメント行為です。

それは、「ハラスメントハラスメント」
略称ハラハラ。
ハラスメントという大義名分を武器に周囲を困らせる行為なのです。

実は、このハラハラは最近、相談されることが増えている行為の一つです。

怒られた=パワハラという定義は成り立ちはしないのですが、
逆恨みをして、怒った上司を「パワハラ扱い」して、会社に訴える方が増えているからです。

しかし、部下の行動について注意をしたことであって、パワハラではありません。
まして、今回の指導についても、パワハラの定義にある「適正な範囲」内にあると考えます。

仕事をしていないことを棚上げして、注意された内容の一部を上げ足をとられ、
ハラスメント扱いされては、上司は部下指導が出来なくなります。

とはいえ、ドラマを見ていて、上司としても改善すべきことがあったと私は考えます。

まず、私がこのメールで改善すべきだと思うのは、以下の3点です。

(1)メールで注意したこと
メールで書くと、相手の顔色や反応を見ることができません。
また、伝えたい真意が伝わりにくくなります。
今回も、店長の真意は佐々部さんに伝わりませんでした。
注意するならば、相手と向き合って、相手の様子を見ながら話すべきです。

(2)誤解を生じる書き方をしている
「這いつくばって拾うことです」という表現は、相手に誤解を生じる可能性が高いです。
例えば、「床に落ちていないか確認し、キャッシャーの残金が合うようにしてください」
または、「キャッシャーの残金が合わないときには、床に現金が落ちていないか見てください」
と書けば、誤解なく伝わると思います。

(3)「君」、「あなた」と書く
君(きみ)と呼ばれると、印象はいいでしょうか。
また、上司から名前で呼ばれず、「あなた」と言われることも職場にふさわしくありません。
あなたではなく、その部下の名前を書く方が相手の心に真っすぐ伝わると思います。

叱ることは上司の仕事

つぎに、武藤店長が本気で佐々部に対して、しっかりと指導したか?という点を、とりあげてみたいと思います。

異動してから半年もの間、店舗用の制服を着用していない佐々部。
仕事をせず、休憩ばかりとっている勤務態度については、毅然とした態度で叱るべきでした。

今回の事件が発覚しても、武藤店長は
「佐々部くんは、そんなことをしません」とかばいましたが、
そんな風に身を挺して守ろうとしている店長に、佐々部は
「店長は、自分の保身のために言ってるんだ」と笑います。

実は、この佐々部が店長を脅す行為は、パワーハラスメントにも該当します。
佐々部は、自分の父親が社長のゴルフ仲間で、そのコネで入社をしています。
ゆえに、社長との優位的な人間関係をたてに、武藤店長にクビにするぞと脅迫していました。

パワハラの定義である「職場内の立場の優位性を背景に」については、
上司から部下だけに起こるわけではありません。
どちらが優位な立場であるかということなので、部下から上司にも起こりうるわけです。

さて、ハラハラにパワハラ、どうしようもない佐々部。
その佐々部に秋津は、「私をパワハラと訴えてもいいから言わせてくれ」と啖呵をきって、
激しくも愛溢れる言葉で店長の気持ちを代弁します。

「なぜ店長が一円玉を拾えって言ったと思いますか。
あなたのようなクズ中のクズを見捨てず、育てようとしたからです。
間違ったことをしている人間に注意すらしないことを『見殺し』と言います。
その方がよほど残酷で、無慈悲なパワハラなんだ!!

この言葉でようやく、佐々部は店長の想いに触れ、泣き崩れ、
自分のやった行為の恐ろしさを理解するのでした。

謝罪会見

最後に、この一連の出来事を、どうやって世間に知らせるかについて、
秋津は社長に、方策を提案します。

というのも、二代目にあたる現在の社長は、常務を支持する他役員と敵対関係にあるからです。
縁故で入れてやった佐々部の行いに対して、悔しがる社長をなだめるように、
秋津は言うのです。

縁故で入れた社員が、こんな不祥事を起こしたとしたら、
常務喜び組から、問い詰められますよ。

そうして、早急に謝罪会見を開くよう提案します。
その謝罪会見では、異物混入があったことを伝え、
どのような経路で異物が混入したかは判明していないことにし、
念のため、商品を全て回収したこと、
さらには、お客様にご迷惑をかけたことを、社長が深々と頭を下げるように演出したのでした。

こうして秋津は、突然の辞令にも関わらず、
クレーム事件から始まったハラスメント、さらには異物混入事件についても、
人の心の寄り添いながら、解決していくのでした。

すごい、すごいわ、秋津さん!
きっと、どの会社でも活躍できる人材、まさに理想の上司と言えます。

最後に

さすがに人気の脚本家だけあって、一話目に、部下から上司へのパワハラを題材にするところが、
時代をよく反映されていると感じました。

原作・脚本は、ドラマ『白い巨塔』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』
『BG~身辺警護人~』などを手掛けた脚本家・井上由美子さんです。

唐沢寿明さんの演技もさることながら、
脇を固める俳優陣が非常に豪華で、演技がうまくて、とても見応えのある内容です。

取り上げているハラスメント事案が、あからさまなパワハラやセクハラではなく、
これってどうなんだろう?と思う、
白なのか、黒なのかと迷う、いわゆる「グレーゾーン」のハラスメントも多く描かれています。

ということで、今後もドラマ「ハラスメントゲーム」について書いていこうと思います。

最後に、ドラマ「ハラスメントゲーム」について、紹介します。
テレビ東京で毎週月曜夜10時~放映されています。
http://www.tv-tokyo.co.jp/harassmentgame/

第2話 「勃発!パート一揆!」ゲスト出演者:余貴美子さん
第3話 「炎上!パタハラ天国!」ゲスト出演者:斎藤工さん

動画配信サービスParaviでも、見ることができます。
https://www.paravi.jp/title/32514
ぜひ、ご覧くださいませ。

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