職場でのLINE交換は、パワハラですか?セクハラですか?
こんにちは、ハラスメント対策専門家 山藤祐子です。
職場で(社内の人間同士で)LINE交換をすることについて、パワハラになるか、セクハラになるか、あなたはどのようにお考えですか?
結論から申し上げると、交換するだけなら、パワハラにもセクハラにもなりません。
だからといって、相手が拒否しているのにしつこく交換を求めることは、やめましょう。
のちのち、パワハラやセクハラに発展することがあります。
では、具体的に解説したいと思います。
LINE交換がパワハラ、セクハラでは?と質問される背景
LINEなどメッセージアプリは、ビジネスメールと異なり、気軽にやり取りができるためパワハラやセクハラにつながりやすくなっています。
ビジネスなのか、プライベートなのか、境界線が見えにくいのも要因のひとつでしょう。
また、パワハラ、セクハラについての理解が進んできたため、社内でのコミュニケーションに敏感になってきた一方で、それぞれの定義が誤った認識で広がっていることも問題かもしれません。
たとえば「自分がハラスメントだと感じたら、すべてハラスメント」「個人の感じ方がすべて」というのは、よくある誤解です。
職場環境を健全化するのは、たいへん重要なことですが、パワハラ、セクハラについて正しく理解しておかないと、かえって悪化することがあります。
社内の誰もが、パワハラ、セクハラについて正しい線引きができるよう明確なガイドラインと継続した教育が必要です。
パワハラとは
パワーハラスメントの略語。
厚生労働省では、職場(※)で働く者に対し、次の3つの要素をすべて満たすものを「パワハラ」と定義づけています。(※通常就業している場所だけでなく、業務を遂行する場所であればすべて職場となる)
- 職務上の地位や人間関係などの優位性を背景として
- 業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動により
- 労働者の就業環境を害すること
LINE交換後、パワハラにつながるケース
- 業務時間外であっても夜中であっても頻繁に連絡し、即時返信を求める
- 業務と関係ない内容を頻繁に繰り返し送信する
LINE交換をしたからといって、何を送ってもいいわけではありません。
ツールが公私を分けるのではなく、送信した内容で「業務」「業務ではない」が分かれます。
職場における地位関係 や指揮系統が存在すれば、そこはすでに「職場」です。
「自宅にいればプライベート」とはなりませんので、注意が必要です。
セクハラとは
セクハラとはセクシュアル・ハラスメント(sexual harassment)の略語。
職場において、労働者の意に反する性的な嫌がらせをされ、就業環境が害されることを指すものです。
性的な意味を持って体を触るなどの身体的な接触もあれば、言葉によるものも含まれます。
2020年6月1日から、男女雇用機会均等法第11条1項において、すべての企業は、職場でのセクハラを防止するよう義務付けられました。
LINE交換後、セクハラにつながるケース
- 仕事と無関係にもかかわらず性的な質問や話題を繰り返し送信する
- 業務に関係のない食事や飲み会にしつこく誘い強要する
いずれも、受け取る側が拒否の態度を示しているのに繰り返し行うと、セクハラと言えるでしょう。
LINEを交換した、メッセージを送信した、ここまででセクハラになるわけではなく、その後、拒否されても繰り返し行うという点がポイントです。
パワハラ・セクハラ防止のための職場の取り組み
事業主には、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・ 育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策が法律により義務付けられています。
まずは、全社的に共通認識をもつことや、会社としての方針を示し、基本的な環境を整えなければなりません。順にご紹介します。
1.方針の明確化と周知
パワハラやセクハラの防止について企業方針を明確化し、全従業員に周知します。
就業規則に明記することも必要です。
2.教育と研修
全従業員を対象に、ハラスメントの定義や防止策についての研修を定期的に実施します。
管理職には、ハラスメントの早期発見と適切な対応方法について、追加で研修をすると効果的です。
3.相談窓口の設置
ハラスメントに関する相談や苦情を受け付ける専用の窓口を設置し、従業員が安心して相談できる環境を整えます。
もし、すでにハラスメントが存在するようでしたら、事実確認と適切な対応、再発防止策を講じることも必要です。
パワハラ、セクハラは「うちには関係ない」ではなく、誰にでも関係のあること。
LINE交換がその発端となり得るように、個々の意識を改めていくことが大切ではないでしょうか。
そのけん引役として企業が担う責任はとても大きくなっています。
いまだ対策が講じられていない、何からすればいいかわからないなど、不安なことがありましたら、弊社のハラスメント防止研修をご利用ください。
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