パワハラ上司と言わせない!部下との信頼関係を築く3つのポイント

現在、日本には約50種類のハラスメントがあるといわれています。

しかし、法律で定められたハラスメントの定義を正しく理解している人は少ないのが現状です。

なんでもかんでも「ハラ」をつければ、通用するわけではありません。

そのため、部下から「パワハラ上司」と呼ばれることを恐れ、多くの管理職が適切な指導ができないと悩んでいます。

この状態では、円滑な業務遂行は難しくなるだけでなく、社内の人間関係も良くなるはずがありません。

そこで、仕事をスムーズに進めるために、理想の上司と部下の信頼関係に欠かせない点について解説します。

理想の上司と部下の信頼関係を築く3つのポイント

1.明確な指示

まず、部下には、業務の役割と期待する成果を具体的に伝えることが重要です。

あなたが上司の場合、ふだん、部下にはどのように指示を出していますか?

たとえば「この仕事を任せるから、しっかりやってほしい」や「メールをしたから見ておいて」だけでは、あまりにも曖昧すぎます。

部下は、自分が何を求められているのかわからず、具体的な質問もできず、混乱するだけです。

経験の少ない部下であればなおさらですが、何を? いつまでに? 何のために? など悩んでしまいます。

まずは、目標や評価基準を数値化すること。

指示を明確にすることでこそ、お互いの共通認識が生まれます。

口頭で伝えるだけでなく、指示書のフォーマットを活用するなどして、指示内容を明確にするのも良いでしょう。

小さな誤解が原因となって、人間関係は悪化します。

たかが指示と思わずに、丁寧にしていきたいものです。

2.指示内容を正確に理解しているか確認

上司は、具体的な指示を伝えたつもりでも、部下に伝わっていないのであれば、それは残念ながら「指示」とは言えません。

大事なのは、部下にしっかり伝わっているか?を、確認することです。

「わかりましたか?」「わかりました」という形式的なやり取りは、確認とは言えないですから

「いまの指示を、どのように理解したか」を、部下自身に言語化してもらうことが必要です。

これにより、指示内容を正確に理解しているか、確認することができます。

では、確認の結果、指示内容が正しく伝わっていなかったときはどうしたらいいでしょうか。

部下の理解がこちらの思い通りでなかったとしても、「なんで分からないんだ!」と責めるのではなく、どこに認識の違いがあるのかを冷静に探り、誤解の溝を埋めていくことが求められます。

部下にとっては「上司の指示に対し、わからないと言っていいのか、わからない」という場合もあるでしょう。

忙しそうにしている上司に気をつかい、質問したくてもしない部下もいるようです。

指示を受けている間、話を聞いていないと思われたくなくて、あえてメモをとらないというケースも見受けられます。

「伝える」ではなく、「伝わる」ことが大事です。

だとすれば、上司も、伝え方に工夫をする必要があるかもしれません。

「聞き損いは、言い手の粗相」という言葉があります。

聞き手が誤解した場合、それは話し手の伝え方に問題があるという意味です。

3.部下を取り巻く環境に配慮

上司には、部下の業務量や労働時間の管理だけでなく、部下の生活環境や家族構成なども把握することが求められます。

個々に事情は異なるもの。その事情が、仕事の進め方に大きく影響することがあるからです。

ただし、相手が嫌がるのにプライベートな質問ばかりするのは「個の侵害」としてパワハラに該当する可能性があるため、聞き方には注意する必要があります。

そこで、1on1ミーティングを適切に活用しましょう。

「仕事を進めるうえで、私(上司)が把握しておいたほうが良いことはありますか?」と部下に確認することで、必要な情報を得やすくなります。

また、上司自身が積極的に休暇を取り、ワークライフバランスを重視する姿勢を見せることで、部下も安心して働ける環境が整うでしょう。

部下は、上司の発言と行動に一貫性がないことには、非常に敏感だと言えますから、注意が必要です。

【社内全体で】パワハラの正しい定義を理解する

世間的には「自分がハラスメントだと感じたらハラスメント」という認識がありますが、これは誤りです。

パワハラとは、次の3つの条件を満たした場合に成立します。

  1. 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にしている
  2. 業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動がある
  3. 労働者の就業環境を害している

この定義を上司と部下が共有することで、パワハラと指導・指示の違いが明確になります。

こうした教育は、認識のすれ違いをなくすためにも、全社で定期的に実施する必要があるでしょう。

パワハラにならない指導方法とは?

たとえば部下がミスをしたとき。

つい感情的になり「何をやっているんだ、ちゃんとしろ!」では、上司の意図は伝わりませんし、適切な指導とは言えません。

上司が適切な指導をするためには、次の2点を意識することが重要です。

  1. 問題点を具体的に伝える
  2. 改善方法を提示する

問題点と改善方法をセットで説明することで、部下が理解しやすくなります。

「このくらい、言わなくてもわかるだろう」ではなく、上司と部下では経験や知識の差があるため、部下の理解度に合わせることが大切です。

「上司の背中を見て学べ」「空気を読め」という考え方が通用した時代もありましたが、現代にはマッチしません。

上司の背中にマニュアルは貼っていませんし、空気にも何も書かれていないのです。

言葉を使って相手に分かるように伝えることが、上司の責任と言えますし、パワハラを回避する方法でもあります。

まとめ

理想の上司と部下の関係に近づくには、ハラスメントに関する正しい知識を身につけ、双方向の明確なコミュニケーションを意識することが不可欠です。

相互理解が何よりもキーとなります。

上司は部下に対して適切な指導を行い、部下はその指導を前向きに受け止める。

この相互の理解と信頼が築かれたとき、職場の雰囲気は向上し、生産性の高い環境が生まれます。

上司も部下も、お互いの立場や状況を尊重し、建設的な対話を重ねていくことが理想的な職場づくりの第一歩となるでしょう。

まずは、部下への指示方法から、見直してみてください。

投稿者プロフィール

山藤祐子
山藤祐子ハラスメント対策専門家
ハラスメント研修専門講師
国家資格キャリアコンサルタント

ハラスメントとは、あらゆる分野における「嫌がらせ」「迷惑行為」のことです。

企業においてハラスメントを防止するための研修を行っています。

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