【あなたは大丈夫?】リモートワークでパワハラする上司

こんにちは、ハラスメント対策専門家 山藤祐子です。

2020年4月7日に、新型コロナウイルス 感染症(COVID-19) 拡大防止のために緊急事態宣言が出されてから、10日以上経ちました。

多くの企業が、リモートワーク(オフィスとは違う場所で働くこと)に切り替えているように思います。

お互い不慣れな環境の中で、試行錯誤しながら業務をされていると思いますが、そんな中、「リモートパワハラ」が起っているという相談がありました。

そこで、今日は「リモートパワハラ」について、解説したいと思います。

 

リモートパワハラとは

リモートパワハラとは、リモートワーク上で行われるパワハラのことを指します。

では、パワハラとはどういった行為のことか、

ここで、この6月に義務化されるパワハラ防止法案(労働施策総合推進法)の内容について説明します。

以下の4つが揃った時にパワハラとみなします。

(1)同じ職場で働く者に対して

(2)職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に

(3)業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動により

(4)労働者の就業環境を害すること

これを読んでみると、それぞれの自宅で働いているのに、同じ職場?と疑問がわく人がいるかもしれまんせん。

職場の定義は、「働く場所」を指しますので、自宅で働いているのであれば、自宅が職場になります。

さて、困ったことにリモートパワハラは、エスカレートしやすいという背景があるようです。

その理由は、オフィスのように他の人の目がなく誰にも止められないこと。

また、チャットやメールを使うことが増え、言葉がより陰湿になること。

慣れていない環境の中で、上司側が躍起になって管理をしようとしすぎるあまりに言葉が行き過ぎてしまう傾向にあるように思います。

そこで、実際に相談があった事例と何が良くないのかを解説しますので、ご自身が、知らず知らずにやっていないか確認をしてみてください。

 

具体例(1)「今すぐ繋げろ!」と要求する

自宅で仕事をしている部下に対して、相手の時間に関係なく「すぐに繋げ」とチャットを送る。

少しでも遅くなると、今度は携帯に電話を入れて、「今すぐ繋げろ」と急がせる。

いくら就業時間中でも、オフィスではありませんから、まず相手の様子を確認する必要があります。

他の仕事に集中しているかもしれませんし、お客様に電話をかけているかもしれません。

具体例(2)チャットやメールで人格を否定する

「何やってんだ?」「はあ?」「ばかじゃないのか?」「一回死んでくれ!」
と感情の赴くまま、チャットやメールを送る行為。

人格の否定に当たる暴言は、パワハラといえます。

また、相手が委縮をするような発言をしても、仕事は捗りませんから。

具体例(3)不当な残業を指示する

「システムにログインしたら、残業になるから、ログインしないでやってよ」など残業をしないよう指示がある。

不当な残業を指示することは法律違反です。当然ですが、パワハラと言える行為です。

 

具体例(4)リモートミーティングで怒鳴る

リモート会議中に、いきなり「声が小さい!!!」と怒鳴る行為。
また、他のメンバーがいるにも関わらず、人前でダメ出しを繰り返す。

怒鳴った内容が人格を否定するようなことであれば、パワハラと言われても仕方がありません。

また、人前で言うべき内容だったか、必要性があったか、妥当な言い方だったかを考える必要があります。

 

なぜ、リモートパワハラをしてしまうのか

これまで優しかった上司が、リモートワークになって語気が強くなった。
物静かだった上司から、催促のメールが頻繁に来るようになった。

などの話を聴くことがあります。

今回の非常事態宣言で、突然リモートワークになり、混乱している人が多いように思います。

特に、パソコンが苦手な人にとっては、会社から送られてきたパソコンを自宅でセッティングすることすら、苦痛だったのではないでしょうか。

そして、リモートワークになって、仕事が全く捗らないという話を沢山の方から聞きました。

例えば、こんな声です。

  • 自宅で仕事をする経験がないので、落ち着つかず、効率が下がった。
  • 突然のリモートワークへの切り替えで、システムが追い付かず頻繁にシステムがフリーズする。
  • 自宅のWi-Fiのつながりが悪くて、仕事が捗らない。
  • 子供が休校、休園で自宅にいるため、相手をしないといけないので、仕事時間の確保が難しい。
  • 毎日三食分の料理をしながら、働くのは大変だ。
  • 自宅にいるために、テレビやゲームの誘惑が多い。
  • 誰かと無性に話したくなるが、声をかけていいのか遠慮してしまう。
  • 聞きたいことがあっても、相手の状況を考えてしまい中々質問できない。

 

などなど、これまでとの環境の違いに混乱して、不安を感じて、不満を抱いているのかもしれません。

実は、こんなことを書いている私も、同じように不安を感じ、不満を抱いています。

私には小学生4年生の娘がいるのですが、

3月4日の休校スタート当時は、学童などを利用していました。

非常事態宣言発出後から、ずっと自宅待機中。

真昼間から、目の前でごろごろされて、「今日の宿題やったの?」とか「いつまでゲームしているの?」など言いたくもないことを言いたくなるわけです。

普段なら、全く気にならない娘の言動に、感情が揺さぶられる始末。

そんな自分を振り返りつつ、元パワハラ上司経験者としては、

リモートパワハラをしてしまう人たちも同じではと想像しました。

普段と違う環境、コロナウィルスへの不安、慣れないコミュニケーションスタイルなど、

様々な要因からストレスを感じ、些細なことでイライラしているんじゃないかと思います。

 

非常事態だからこそ、お互いに配慮ある言動を

それでなくても、緊急事態宣言が出て、リモートワークをしている方も、出社している方も、普段以上に緊張やストレスを感じているように思います。

毎日のコロナ患者数などのニュースを見るだけでも、不安になっている人もいるかもしれません。

アメリカの活動家であるマヤ・アンジェロウさんが残された名言の中に、こんな言葉があります、

 

「私が学んだのは、人は他人が言ったことを忘れるし、他人にしたことも忘れるけれど、

その人にどういう気分にさせられたかは、決して忘れないということだった」

実は、SNSなどで、「リモートワークになって、上司はいらないってわかった」というコメントに触れることは、一度や二度ではありません。

 

「今、時間とれるかな」

「この伝え方で、相手に伝わるかな」

と、急いで話したいときほど、考えてみる。

イライラしたときは、まず深呼吸。

ときどき、鏡で自分の顔を見るのもいいかもしれません。

相手の状況がオフィスで顔を合わせているときほど、見えないからこそ

相手の様子を想像し、自分の感情を冷静にコントロールすることが大切だと思います。

いつか、オフィスで仲間と元気に会えるために。

投稿者プロフィール

山藤祐子
山藤祐子ハラスメント対策専門家
ハラスメント研修専門講師
国家資格キャリアコンサルタント

ハラスメントとは、あらゆる分野における「嫌がらせ」「迷惑行為」のことです。

企業においてハラスメントを防止するための研修を行っています。

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