【2020年6月パワハラ防止法】いよいよ義務化スタート!!

こんにちは、ハラスメント対策専門家 倉本祐子です。

2020年6月1日、いよいよ労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法案が施行され、

大企業においては、職場におけるパワハラ対策が義務になりました。

2019年6月21日に国際労働機関(ILO)が、ハラスメントに特化した国際条約を採択してから、一年。

ようやく、日本は、ILOの条約に批准したことになります。

今回の防止法に関して、罰則はありませんが、労働局の指導や勧告で是正されないときは、企業名を公表できる仕組みです。

そこで、これからパワハラ対策をしっかりやろうという企業のために、

どういう人がパワハラを起こす可能性があるか、またパワハラを放置した場合のリスクについて解説したいと思います。

 

パワハラとは

まず、この6月1日に施行されたパワハラ防止法案(労働施策総合推進法)の内容について説明します。

以下の4つが揃った時にパワハラとみなします。

(1)同じ職場で働く者に対して

(2)職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に

(3)業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動により

(4)労働者の就業環境を害すること

厚労省が発表した、指導とパワハラとの違いに関しては、以下にまとめました。

実は、ハラスメント対策の研修をしていると、決まって聞く言葉があります。

「昔は、パワハラだらけだった」

はい、私もそう思います。

実際に、私もパワハラ被害者であり、パワハラ行為者だった過去があります。

だからこそ、良く分かります。

しかし、時代が変わりました。

私たち、昭和のイケイケどんどん世代こそ、ハラスメントに対して「アップデート」する必要があります。

 

時代に合わせてアップデート

確かに、昭和から平成の初めごろまで、パワハラといえる行為が横行していたと思います。

私自身も、上司から「あほ」「ばか」と何度言われたか分かりません。

暴力こそ振るわれた経験はありませんが、「次の予算落としたら、どうなるか、分かってるな!」のような脅し文句を言われたことは何度もあります。

私が就職をした平成元年(1989年)の頃は、伝票は手書き、ようやくFAXが会社に設置され始めました。

営業職は、お客様のところに日参するのが当たり前。

何度も何度も訪ねてくるので、お客様が根負けして「しょうがないな」と買ってくれたりしました。

夜中まで働いたら、「よく頑張ったな」と上司が労い、

タバコ部屋で雑談しながら、上司に仕事の相談ができました。

あの時代は、経済が成長している時期だったため、組織が「右肩上がり」で伸びていきました。

だから無理もしたし、徹夜もしました。

そう、「頑張ったら、報われる」という経験ができた時代と言えます。

だから、上司は部下を頑張らせるために、時に罵倒し、時に飲みに誘って話を聴いて飴と鞭を適度に使っていました。

しかし、今は全く違います。

頑張っても、頑張っても、「頑張り方」を間違えると結果は出ません。

だから、パワハラはこういう昭和感覚を持ったまま、「精神的に頑張ればなんとかなる」と思っている組織に起こりがちです。

そろそろ、精神論だけで仕事をすれば成果が出るという考えは捨て、

やり方を工夫し、改善を常に模索する時代へ、頭の中をアップデートする必要があるのです。

では、ここでこれを読んでくださっている方が、アップデートが必要かどうかを確認いただくために、

どういう特徴を持った人がパワハラをする可能性があるのかを説明したいと思います。

 

パワハラをする人の特徴

以下が、パワハラをする可能性がある人の特徴です。

(1)人の話を最後まで聞かず、自分の意見ばかり押し付ける

パワハラは部下と上司のコミュニケーションがとれていないと起こりやすくなります。

上司が一方的に自分の意見だけ話している、相手の話を聴いていないと言う場合には、コミュニケーションが取れていないことが多いです。

ですから、人の話を遮る傾向が強く、気づけば自分ばかり話しているという人は要注意です。

(2)失敗を絶対に許さない

パワハラは、失敗を許されない、また失敗の許容範囲が少ない場合に起こりやすくなります。

失敗が出来ないから、強い言葉で指導すると、時にいきすぎた言葉になる場合があり、

そこに、怒りの感情が入ると、「ふざけんな、ばかやろー、なにやってんだ、こら!!」のような暴言に繋がってしまいます。

そして、こういう暴言以外の「語彙」を持っていないと、この暴言を言うことが指導だと勘違いしてしまうため要注意です。

(3)自分を強く見せたい

自分自身の評価が低いが、周りにはその評価が低い自分を知られたくない、できれば強く見せたいと思ったときに、

相手を攻撃する傾向が強くなります。

“The best defense is a good offense.” 攻撃は最善の防御

という言葉があるように、自分の弱さを隠すために相手を攻撃してしまうのです。

自分の自信の無さを、声の大きさや、相手を罵倒することで隠そうと思うことは、パワハラに繋がるので要注意です。

(4)支配欲が強い

パワハラをする人の中には出世欲が強く、人を支配して権力を持ちたいと思う人がいます。

出世のためなら、部下の手柄を取り、部下の責任はとらない、残念な人も・・・

そのため、部下が失敗したら、こてんぱんに部下をけなし、

「おまえなんか、やめてしまえ!!!」など暴言を吐いてパワハラ行為をする。

出世欲があることは全く問題ありませんが、人を支配をすることが出世ではありません。

もしも、部下を叱るときに、バカだ、あほだと言っている人は要注意です。

(5)嫉妬心が強い

パワハラをする人の中には出世欲が強い人がいると書きましたが、出世欲が強すぎる人は多くの場合、嫉妬心も強い人が多いです。

「あの人みたいになりたいから、自分も頑張ろう」

というような健全な嫉妬心は成長に繋がりますが、

「あいつだけいい思いしやがって」

「自分ばかり、貧乏くじを引いている」

と他人の良い結果や成果を喜べないで、嫉妬し相手を攻撃するわけです。

周りが羨ましい、自分だけ損している、と感じているときは要注意です。

(6)他人を尊重しない

パワハラをする人は自分以外の他人を尊重しない傾向が強く、非常に自己中心的な発想をします。

そのため、自分の思い通りにならないと、罵倒をしたり怒りをぶつけることがあるわけです。

相手に考えがあり、相手にも人格があることを無視して、

「部下は自分にとっての兵隊」と思うと、ぞんざいな扱いをするようになります。

「部下は自分の言うことだけきけばいい」という発想が生まれた時は危険信号ですので、要注意です。

(7)素直ではない

パワハラ行為をした方が研修に参加されたとき、素直に話を聴いていただけないことがあります。

「そうはいっても」

「これでは、部下に示しがつかない」

「相手の取り方が悪い」

と言って、自身がしたことを何とか正当化しようとします。

もしも、ご自分の中で、「いや」「でも」「しかし」ばかり考えているときは、素直に話を聴けない時なので要注意です。

 

いかがでしょうか。

ご自身に当てはまる言動、考え方はありましたでしょうか。

もしくは、ご自身の周囲に当てはまる方がいらっしゃいますか。

パワハラは放置していると、とんでもないことになる可能性が高いので、

次から、放置した時のリスクについて解説します。

パワハラ放置は、リスクが大きい

パワハラを放置していると、組織にとって甚大な被害が起きる可能性があります。

(1)被害者にとって

精神的に傷つき、仕事に悪影響が出てしまいます。

また、パワハラ行為者が怖くて、能力が発揮できない、

委縮して意見が言えなくなり、

うつ病や、対人恐怖症など、精神的な疾患になる場合があります。

最悪な場合には、自殺するところまで追い込まれてしまうこともあります。

(2)周囲への影響

被害者を見ながら、いつ自分に被害が及ぶか分からない不安、

さらに被害者に対してフォローできないことへの自責。

また、被害者がいる職場は、働くモチベーションが下がります。

そして、パワハラを放置する会社に対して不信感を持ち、

離職につながります。

(3)行為者への影響

まず、就業規則などに基づく、懲戒処分が下されます。

内容によって、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇などの処分が下るでしょう。

また、被害者が司法に訴えれば、裁判となり損害賠償責任に問われますし、

暴力行為があれば、刑事責任に問われます。

社会的な地位、もしかしたら家族まで、無くすかもしれません。

 

(4)組織への影響

使用者責任に問われます。

使用者責任とは、以下の通りです。

第715条【使用者等の責任】

① ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

② 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

③ 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

今回の法律で、悪しき企業に関しては企業名を公表するとあります。

そうなると、組織のイメージは著しく損なわれ、

そこで働く従業員の労働意欲は、下がっていきます。

優秀な人が離職をし、職場は人材不足になり、

生産性が下がり、業績が下がることになるでしょう。

結果として、組織にとってマイナスしかないということです。

リモートワーク時代だからこそ、必要なハラスメント対策

新たな生活様式に合わせて、新たな価値観をもって仕事をする時代がやってきました。

コロナ禍の中で、これからは「会わないで仕事をする」ことが増えて来るでしょう。

とにかく「会って会って、親しくなる」なんてことが出来なくなりますし、

「初めまして」をパソコンのモニターを通して行うようになる可能性は高いと思います。

私自身も、4月以降の打ち合わせは、全てオンライン。

企業の担当者と、「初めまして、倉本です」という会話を何度となくしました。

 

こうなってくると、職場のコミュニケーションの在り方が、急速に変化をしていきます。

これまでのように、何かあれば膝を突き合わせて話し合おう、なんて出来ません。

横に並んで、分かるまで、できるようになるまで、教えることも難しいかもしれません。

しかし、「昔は・・・」と後戻りしている時間はないのです。

まずは、しっかりと管理職の方々に、パワハラ防止法について理解を深めて頂くこと。

これまでの指導における考え方を、アップデートしてもらうこと。

まずは、ここからスタートする必要があると考えます。

ハラスメント対策の研修は、オンライン、集合研修、どちらでも実施できます。

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